たからもの。

2021年10月01日22:01  【1426】セリカ(天国へ) 写真あり

その子はひとりぼっちで檻の中で回っていました。
とても狭くて暗くて、大きな網目の床の上で何百周とくるくる、くるくる。
足場が網の上だから・・・
うまく回ることすら出来ない。
だから、つまずいたり、ひっかかったり、転んだり、、、
でも起き上がる事が出来ない。
きっと産まれてきてから、ずっとこうなんだろう・・・
誰か手を差し伸べてくれなかったのだろうか・・・
この子が転倒した時、起き上がらせてくれる手はいったい有ったのだろうか・・・






ウェルシュコーギーのセリカです。

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わたしたちが保護にいった現場の片隅に。
ひとりで檻の中でまわっていました。


恐らく水頭症だから、と放棄されたセリカは、
死ぬのを待つだけの存在だったのかもしれません。

スタッフが声をかけながら、檻の中へ手を差し出し、様子を見ながら檻から出そうとするとき、
はげしく抵抗しました。

ごめんね。
驚いたよね。
だってずっとひとりだったから。
人間の手は、恐怖しかなかったよな。本当にごめん。





明らかに、正常な身体と脳では無い犬を見てしまった。
存在を知ってしまった、触れてしまった。
だけど何十頭と連れて帰るのに・・・???
この犬のケアだけじゃないぞ?治る病気じゃないかもしれんぞ。
どうする?

そんな時、だいひょーは、迷わず
「バリケン持ってきて」
と言います。

だよねー。
知ってるー。

とスタッフは頭の中で苦笑いしますけど 笑






シェルターに来たセリカは、男の子だけどオシャレな女の子のような車の名前を付けられ、
セリちゃん、セリちゃん、とスタッフさんやボランティアさんみんなに可愛がられました。

だけど、知らない声や手には慣れなくて、
くるくる回りながらも、助けてくれる存在を認識し、
水頭症だけど、目も耳も聞こえていないかもしれないけれど、
何か、ほっこりする感情は持っていたようです。
1枚目の写真は、だいひょーがはじめて抱っこが出来て、嬉しい様子♡(だいひょーが)

コーギー特有の柿のような可愛い尻尾が控え目に
プリプリするのを見ていられるだけで幸せ。。。

水頭症だけど、元気に暮らしている卒業犬は沢山見てきているし、
お薬とうまくつきあえれば・・・

そしてゆくゆくは、セリちゃんに家族を作ってあげたい。
本当の家族にケアがバトンタッチ出来るように、セリちゃんの事を色々出来るように
しておこう。

そんな希望を持っていました。



爪切りは寝ている時にそっとね・・・

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おしっこまみれの身体をいつか洗ってあげたい・・・
と、まずはブラシだけでも・・・

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この頃は自力でミルクも飲めたんだねぇ。(可愛いなぁ)
お薬もお口から飲めるし、おやつも鼻元に置いておくと食べられるし、
ご飯も位置を教えてあければ自分で食べられた。

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おしっこまみれの身体も、寝っ転がりながら
シャワーを浴びさせてあげられた。

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セリちゃん、
気持ち良くて、うっとりしていたね。

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常に人がいる状態なので、セリちゃんが眠る時はこうして
布団をかけて、枕を入れて、ゆっくり寝てもらえるようにしています。
これは寝顔のクセが強いセリちゃん。
こうして、いつも可愛いお顔ばかりのセリちゃんが笑わせてくれたりして、
ずっとこんな時間が続けばいいなと思っていた。

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セリちゃんにとって、「安心して接する事が出来る人間」という地位に
昇格させていただいたわたしたちは、医療の事も平行して進めて行こうと
考えました。

そして、いつもお世話になっている病院の先生にご相談をさせていただき、
診察を行っていただきました。




やはり、水頭症で間違いない。

一日中、ずっとバタバタ遊泳しているセリちゃん。
疲れても、くたびれて限界が来ても、回る事以外考えられない。
転がってしまった時、誰もいないと大きな声でわたしたちを呼ぶセリちゃん。
四隅に頭を突っ込んで、ずっと突進しているセリちゃん。
この頃はもう、上の写真の頃とは違って、
セリカが寝る時は、眠るというよりも疲れて気を失っているという時だったと思います。



その状態を診て、手術を行うならば、それはとても難しい手術だけれども・・・
やらないと、数週間、もしくは数日で亡くなってしまうかもしれない・・・
という診断でした。

悩みに悩んだけれど・・・
先生に手術をお願いする事にしました。
痛い思いをするのは、これで最後にしてあげたい。



今思うと、この頃、もっともっと沢山の写真や動画を撮っておけば良かった。
手術が行えて、無事終わって、状態が今よりも良くなって、セリカも楽になって、
今よりもっとずっと生活がしやすくなって・・・
ケアを続けられる方が現れて・・・
セリカにも家族が出来るんじゃないか・・・
これからもっと沢山写真を撮る機会はあるもんね、
そう信じたかったのかもしれません。

だって、こんなに可愛い子。
手離すなんて思いたくないのですから・・・

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だけど
先生に準備を進めていただいている頃、セリカの状態は
毎時間ごとに悪くなっていきました。

ご飯ももう自分の力では食べられなくなってしまった・・・

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スプーンを口に持っていくと、美味しそうに食べてくれる。
だけど、次の日にはもう、それも出来なくなってしまった・・・

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ほんの数日で・・・
本当にセリカは・・・
どんどん、容態が悪くなってしまった・・・

口に直接水分を補給しなければ何も口に出来なくなってしまった・・・
強い発作も立て続けに続いている・・・

だいひょーもスタッフも、ずっとセリカのそばにいた。




そして・・・


セリカは逝ってしまった。







家族を見つけてあげられなかった。

生きていれば、こんなに可愛いセリカだもの、
人気者になって、
ケアの上手な人がきっと名乗りでてくれて、
優しい手がずっとセリカを撫でてくれると信じてた。

今はまだ出会えていない誰かのたからものになるはずの子だった。

助けてあげられなかった。
本当にごめん、セリカ・・・






わたしたちが助けられる犬なんて、本当に少ない。
じぶんたちの無力さとちっぽけさに、いつも打ちのめされる。

だけど、やっぱり、連れて帰って来てよかった。
エゴかもしれないけど、ほんの数日でも、一緒にいる事が出来て幸せだった。
わたしたちのたからもの、セリカ。

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保護をして来た子が亡くなってしまうという事は、本当に辛い。
写真を見返したりすることもまだまだ辛い、、、
だけど、みなさんにセリカの事を伝えたかった。
保護をしてそれで終わりでは無いということ。
ホームページに紹介される前に、そっと亡くなっていく命もあるんだということ。
だから、、、

ケアが無事に終わり、ホームページに紹介され、里親さんが現れ、家族の一員になるという事はとんでもない奇跡なんです。

何十、何百、何千の奇跡が重なって、はじめて貴方の横にその子がいるのです。

だから

どうか大事にしてあげてください。
貴方のたからものを。










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